地籍調査は、人でいう戸籍に相当する土地の戸籍としての地籍(地籍図、地籍簿)を明らかにすることにあります。また、地籍が明らかになることは、都市計画事業の計画的な推進や国土強靭化に照らして、更には発災時の迅速な復旧・復興、課税の適正化等に資することになり、まさに今求められている事業であるなかで、千葉県においては、その進捗率は約19%(令和 6年3月31日時点:全国第37位)となっています。
都市部における地籍調査(区画整理などで一定程度地籍が明確な地域)
地籍調査を技術的な面から見ますと、これまでの地籍調査は地籍を明らかにするところに焦点があてられ、その時代の測量技術により実現していましたが、現代の地籍調査は、地震の影響を受けない(地殻の変動量に応じた補正により)電子基準点にシームレスに整合させた境界座標の管理が求められています。
また、進捗率18%に相当する地籍は、その時代の基準点を与点とし、座標化され(座標値を持たない平板測量等による場合もある。)明確になるなか、基準点は、地籍調査が始まって70年間の歴史の中で、幾度かの技術革新によりその都度精度が向上してきました。
基準点の精度が向上することは、基準点の位置が正されることになり、精度が向上する前の地籍と精度が向上した後の地籍では、位置に差が出て整合が取れないことになります。
そこには、平板測量による地籍調査を含めて境界座標を座標系に展開してシームレスに管理するという考え方が、測量の技術的な面で実現する段階には無かったことがあります。
電子基準点の出現は、座標系全体をシームレスにする考え方であり、地震等の地殻の変動に対しても対応可能であることから、電子基準点の利用により初めて境界座標の一元管理が可能になったといえます。しかしながら、過去の地籍調査等の成果(地籍調査等の資産)との整合に課題が残りまが、このことについては、現代の地籍調査の手法を用いて適切に境界座標を管理することが理想的(過去に明確になった地籍は変更せずに位置のみを電子基準点と整合させる考え方)と見ています。
公図地域(これまで一度も境界確認を行っていない地域)の地籍調査
明治時代の測量技術(座標に基づかない目測や歩測を含む測量)による公図(筆界)は、現代の測量でいうところの復元する精度を持たないことから、筆界を想定(筆界の特長(形状)に基づいて)して、権利者による見解を調整して確定することになります。
都市部における地籍調査には、面的な地籍調査と併せて街区基本調査の手法があります。
しかしながら現代の地籍調査の目的からは、単に地籍が明らかになるだけではなく、都市計画事業の推進や国土強靭化に照らすと境界座標の管理が重要になるため、面的な地籍調査が必要であり、当社ではその推進を担っています。
明治の時代に地租改正を目的に作成された公図は、補足・目測も認められることから、復元する精度を持たないため、発災時の迅速な復旧・復興や課税の適正化等に対しては不向きであり、そこには面的な地籍調査が必要となり、当社ではその推進を担っています。